法人が破産する場合、裁判所に破産開始の申し立てを行うことになります。
破産者が法人でなく個人の場合であっても手続き自体は「自己破産」というくくりとなります。法人の破産の場合、個人とは異なり同時廃止事件よりも管財事件が多くなります。
管財事件とは、裁判所より破産管財人が選任され、破産管財人が破産者に代わり財産調査を行い、そこで確認した財産を処分し金銭等に変え、各債権者に分配することをいいます。
破産管財人は破産者及び債権者と利害関係のない弁護士が選任されます。破産者の負債には、法人税や消費税、固定資産税等の租税が含まれます。
これらの弁済を行うには、確定申告等の税務を行う必要があり、破産管財人の業務は非常に多くなることが予想されます。
坂口税理士事務所では新宿区、中野区、豊島区を中心に全国幅広く対応をしております。なお、破産管財人に選任された弁護士の方からの相談・税務の代行も承っておりますので、お困りのことがございましたらお気軽に当事務所までお問い合わせください。
破産管財人は破産をした方や企業に対して、財産の調査や処分を行い、同時にそして破産を下方や企業の税務業務を行わなければならないこともあります。破産管財人が行う税務業務の例としては、破産者に対して支払うべき税金の確定や弁済の他、破産者の確定申告、破産管財人報酬を源泉徴収するなどといった業務があります。
■破産管財人が行う税務は2つ
破産管財人は破産手続きと同時に選任され、主に2つの税務業務を行います。
●破産法人や破産者個人の税務申告、納税、弁済に関する手続き
まず大前提としては破産法人や破産者個人の税務申告や納税、弁済に関する手続きを行います。主に弁済業務が多くなりますが、抱えている債務に対しての弁済を行うための財産調査や処分を行い、その処分額に応じて弁済を行っていくという流れです。そしてその中の一つとして税金が挙げられます。税金も税務署側からしたら立派な債権であり、この税金に対しても弁済を行う必要があるのです。そのため破産管財人が財産調査を行い、税金に対しても弁済を行う、という手続きが必要になるのです。
●破産管財人自身の報酬の源泉徴収などといった破産管財人自身に対しての税務業務
次に破産管財人自身に対しての税務業務となります。破産管財人は補助者を活用して破産手続き業務を進めていくことがあります。この際には源泉徴収業務を行うなどの手続きが必要になりますが、この業務もすべて破産管財人が行います。
破産管財人はこの2つの税務業務を行いつつ、破産手続きを進めることになるのです。
会社を清算する場合には、通常の事業を行っているときと違って押さえておかなければならないポイントがあります。会社清算における税務のポイントを必ず押さえておく様にしましょう。
■会社清算における会計年度の考え方
まず会社清算を行う際には会計年度を明確にする必要があります。まずこの会計年度を明確にするためのポイントとして「解散」と「清算」があります。
解散とは、会社自体を解散させることでこの日をもって事業を停止するという時期になります。そしてこの解散をもってすべての業務を終了させることが出来るかというとそのようなことはなく、清算を行って債務などの整理を行い、この清算の確定時に清算決了の申告を行うことで会社清算を終えることが出来ます。
そしてこの会計年度の考え方としては、まず「解散」を基準とします。事業を行っていた会計年度の期首から解散の日までを「みなし事業年度」とみなし、まずこのみなし事業年度で法人税の申告などを行います。そして、解散の日から清算が終了する日までを通常の事業年度のように1年おきに区切り、その区切りをみなし事業年度をして設定することになります。仮に清算に1年以上の時間を要するのであれば、1年おきに税務申告を行い、その手続きを清算終了まで繰り返すことになるのです。
■支払う税金のポイント
会社清算においてポイントになってくるものの一つとしては今まで支払っていた税金がどうなるのかということです。この税金(法人税、事業税、消費税)などに関する考え方は原則として事業を行っているときと変わりません。しかし、少し考え方が異なることがありますので、押さえていきましょう。
●法人税の考え方
法人税の考え方は通常の事業年度と同様です。益金から損金を差引、その金額が課税対象額となり法人税の計算を行います。そして解散する日までのみなし事業年度においても通常通りの納税、申告を行うことになります。
●事業税の考え方
事業税も法人税と同様ですが、みなし事業年度の最終年度の場合(清算が完了した場合)に本来損金に算入できるはずの事業税を損金に算入することができないということが発生してしまいます。そのため、みなし事業年度の最終年度は特例として最終年度の損金に同時に組み込むことが可能とされています。
●消費税の考え方
消費税も法人税同様です。消費税の場合には受け取った消費税があれば赤字でも納税を行わないといけないことは留意しなければなりません。
債務が多くなり、返済が出来なくなった、資金が全く立ち行かなくなったという場合には自己破産をすることが出来ます。この自己破産をすることによって抱えている債務を一部手放すことが出来る可能性がありますが、個人事業主とそうでない場合で実は手続きが異なります。どのような点が違うのか、ポイントを押さえていきましょう。
■自己破産をした時の2つの方法
自己破産をしたときには2つの方法のいずれかで自己破産手続きを進めることになります。まずは2つの自己破産時の方法について押さえておきましょう。
●管財手続
まず一つ目が管財手続になります。管財手続とは、家庭裁判所によって選任された破産管財人によって財産の調査、負債の調査などが行われ、その調査に基づいて破産した方の財産の処分を行います。そして財産の所有状況に応じて自己破産後の免責に対しての調査も行われます。
●同時廃止手続
この方法は破産管財人が選出されず、破産手続と同時に財産処分手続も終了してしまう手続きの方法になります。この方法だと財産の調査も行われないため、非常に楽に手続きを終えることが出来る方法になります。
■個人事業主が選べるのは原則「管財手続」
個人事業主が自己破産した時に選べる方法としては原則として「管財手続」になります。これは個人事業主の場合には、個人事業主でない場合と比較して債務が多い可能性がある、そしてその債務先が複数ある、取引先がいるなどといった関係がより複雑化していることが原因です。そのため、個人事業主の場合には同時廃止手続は取れない場合が多く、管財手続によって長い時間をかけ、自己破産を進めていきます。
株式会社が解散をするときには持っている財産を株主に還元することや所有している債務を清算する手続きを行う必要があります。
会社を清算するにはすぐに清算を行うことができず、2か月ほどの期間がかかります。会社清算のスケジュールは次のようなパターンが一般的です。
〇株主総会の特別決議、解散の決議と清算人の選任
まず株主総会を開き解散の決議をします。その際に、清算人を選定して解散の手続きの責任者を決めます。
〇解散の登記申請
次に解散を行う旨の登記申請を行います。この手続きは決議後2週間以内に行いましょう。この際に39000円の登記申請手数料がかかります。
〇清算の準備と官報公示
次に解散を行うにあたっての準備を行います。会社の財産の調査や財産目録の作成、債権の取り立てなどを行います。
また、解散をする旨の官報公示も行います。官報公示には約30000円がかかります。
〇株主総会の開催、財産目録の承認
〇弁済手続、債権者集会など
〇決算報告のための株主総会と確定申告
〇清算結了の登記申請
最後に清算が終了した旨の清算結了の登記を行います。この登記は解散登記から2か月経ってから行うことになります。登記手数料は2000円です。
この他にも様々な税務に関するご相談を承っております。税金に関することはお気軽に当事務所までお問い合わせください。
法人でも税金や社会保険料を支払う義務がありますが、もし税金や社会保険料を滞納していながら法人破産や会社解散をした場合には、支払い義務は残ってしまうのでしょうか。
本稿では、注意点も踏まえながら解説していきます。
滞納中に法人破産・会社解散をした場合には
税金や社会保険料を滞納した場合には、通常は滞納したものは支払う必要があります。
しかし、法人の場合には、税金や社会保険料を滞納中でも法人破産や会社解散をした場合、税金や社会保険料の支払い義務がなくなることとなります。
個人の場合は、税金と社会保険料等を滞納した場合には、自己破産をしてもこれらの支払い義務はなくならないのですが、法人の場合は義務がなくなるのです。
これは法人が破産、解散をすると権利義務を負う地位を失ってしまうからです。
そして、法人が解散した場合でも法人の代表者が新たに債務者となるように見えますが、そのようなことはなく、個人が新たに債務を負う必要は原則としてありません。
法人破産、会社解散をしても債務がなくならない場合とは
それでは法人破産や会社解散をしても債務がなくならない一例を見ていきましょう。
法人破産や会社解散をしても債務がなくならない例としては、以下のようなものが挙げられます。
一般的には支払い義務がなくなりますが、このような例外があることに注意をしておきましょう。
法人破産・会社解散に関することは坂口税理士事務所までお問い合わせください
坂口税理士事務所では、税務申告や税務署への書類の作成・提出、個人事業主の経費などに関する税務相談を承っております。
法人税に関してお困りのことがございましたらお気軽に当事務所までお問い合わせください。